セミの声を聞く

“毎朝、窓を開けるとセミの声が部屋中に広がります。
うるさいという人もいるけれど私はこの声を聞くとほっとするのです。
友達や知人に言うと変わっているねと言われるのですが、また、新しい一日が何事もなく始まるようで本当にほっとするのです。

年寄りくさい考えかもしれませんが、ある年、セミの声が聞こえなかったときがありました。
天候不順で、夏の間雨ばかりふって、夏というのに寒くてお日様が見えないのでした。
毎年たくさんの実がなるびわの木も葉っぱばかりで、花も落ちてしまいました。
あの年のことを昨日のように覚えていると、セミの声は「今年は普通の年ですよ。雨ばかりではありませんよ」と背中をたたいてくれているような気がするのです。

そんなことを詳しく友達に話したことはありません。
そうね、私って変わっているわね、と笑って過ごします。
そして、一人だけ、うるさいセミの声にほっとしながら、一日を過ごします。
たぶんあと何年も、あの様な天候不順の年など巡ってはこないでしょう。そして大方の年はこの暑い夏のように、汗だくになりながらセミの声をうるさいな、と思いながら過ごすのでしょう。

そんな平和がずっとずっと続きますように、と祈りながら、やっと静かになった夜の窓をそっと閉める今日この頃です。

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